ご存じ 島津亜矢名作歌謡劇場

島津亜矢( 島津亞矢 ) ご存じ 島津亜矢名作歌謡劇場歌詞
1.おさん

作詞:宮沢守夫
作曲:村沢良介

ひとり寝は…
そっと茂兵衛に逢いたくて
夢で逢う気で 灯り消す…

好きになっては いけない人と
恋の道行き しのび旅
たったひと夜の ふれ合いなのに
掟破りの 罪ですか

あぁー 雪が あぁー 雪が…
闇に小走り
おさん 茂兵衛の…影二つ

「茂兵衛に不義密通の汚名をかけてしまい 許しておくれ…
でも このおさんのことを好きだと言ってくれた
お前の今の一言で 決心がつきました
生きて 生きて一緒に逃げましょう…
おさんは どこまでも どこまでも茂兵衛について行きます…」

せめてひととき あなたの胸で
どうか泣かせて 下さいね
女ごころを 知ってるように
瀬音哀しい 高瀬川

あぁー 雪が あぁー 雪が…
そっと寄り添う
おさん 茂兵衛の…恋模様

「初暦の出る霜月は こぼれる涙も凍てついてしまいそうでございます…
この身は 琵琶湖の露と消えようと おさんは身も心も茂兵衛のもの
今のおまえは奉公人やない このおさんの夫や…
この世が駄目なら あの世で あの世で結ばれとうございます…」

息をひそめて 目と目で話す
覚悟してます 不義の道
風が雨戸を ゆさぶる夜は
心細くて 身を寄せる

あぁー 雪が あぁー 雪が…
夢にはぐれた
おさん 茂兵衛の…隠れ宿


2.関の弥太っぺ

作詞:宮沢守夫
作曲:村沢良介

義理の重たさ 背にしょって
流れ道中 子連れ旅
一夜泊りの 草鞋をぬぐも
なにかのご縁
無理を承知で たのみます
どうか どうか どうかこの子の
親がわり

「手前‥呼び名は関の弥太っぺと申します おかみさん
理由は聞かずにこの子を預かっちゃもらえませんか
きっと迎えに参ります 喧嘩渡世のこの身では
幼な子を刃くぐりの巻き添えには出来ません
身勝手なお願いではござんすがよろしゅうお頼申します」

昇る朝日に 手を合わせ
沈む夕日に また祈る
無事でいるやら 辛くはないか
しあわせなのか
気にはしてたが 長の旅
やっと やっと やっと戻りの
甲州路

「早いもんだなァ‥あれから七年 逢ってむかし話をしたら
あの子に悲しい思いをさせるだけだ‥
云いたい事も聞きたい事も山ほどある
逢えば泣けて来てなにも云えないだろう
ただ一目だけ大きくなったお小夜を見たら
土産に買ったこのかんざしを置いて立ち去ろう
それでいゝ それでいゝ それだけでいゝんだ‥」

可愛いがられて 育てられ
嫁に行く日も 近いとか
どんな親でも 命をわけた
親なら子なら
せめても一度 逢いたかろう
関の 関の 関の弥太っぺ
男泣き


3.大忠臣蔵

作詞:松井由利夫
作曲:村沢良介

(セリフ)かぜさそふ
はなよりもなほ われはまた

ならぬ堪忍 耐えてこそ
武門の意地も 立瀬川
今はこれまで この一太刀を
吉良殿お受け 候えや
吾れ桜木の 花と散る

(セリフ)殿中にての刃傷沙汰は
罪萬死に値すること
この内匠頭 重々承知 いたしております
さりながら 積もる遺恨の数々…
浅野家五万三千石 所領も捨て
家臣を捨てての 覚悟の所業でござる
梶川殿…武士の情けじゃ この手を離してくだされ
今ひと太刀…今ひと太刀 上野介を
討たせてくだされ…梶川殿

忠に生きるは 武士の道
命を盾の 槍ぶすま
敵を欺く 言挙げならば
瑤泉院さま 許されよ
雪ふりしきる 南部坂

(セリフ)われら幡州赤穂の浪士
大石内蔵助以下 四十七名の者どもでござる
この言挙げは私怨に非ず
天下の御政道の是非を正すためなり
おのおの方 かまえてその旨を心にしかと刻まれい
忠左衛門どの…吉良殿の所在は未だつかめぬか
源五…東の空も白んでくるわ くまなく探せ
われらの命運は あと半刻ぞ…
天よ地よ神よ仏よ 慈悲あらば
われらが本懐を 遂げさせたまえ
“吉良殿…見つかり申した…”

あれは山鹿の 陣太鼓
一打ち 二打ち 三流れ
一期一会は この世のならい
粒々辛苦 血の涙
暁 染める 松坂町


4.お梶


5.沓掛時次郎

作詞:宮沢守夫
作曲:村沢良介

意地の筋金 一本通し
義理と仁義の 道を行く
やむにやまれず 長脇差を
抜けば仏が また増える
片手拝みの 片手拝みの 時次郎

「渡世の道は無情なものでございます
一宿一飯の恩義から
おきぬさんの大事なご亭主の命を奪い
太郎吉を父無しっ子にさせちまった
詫びてすむことじゃござんせんが
これからは 二人の身を守ることが
この時次郎の
せめてもの罪ほろぼしで ございます

追われ鴉が 流れて着いた
風の熊谷 仮の宿
残るこの子が 不憫なら
死んじゃいけねえ おきぬさん
涙こらえる 涙こらえる 時次郎

「泣くんじゃねえ 太郎吉 おっかさんは
天国の父のところへ行ってしまったんだ
死んだおきぬさんの夢でも見たのか
目から うっすらと 涙がにじんでる
太郎吉の寝顔を見ていると不憫でならねぇ
どうか おきぬさん天国で見守ってやって
おくんなせぇ
三人で川の字に寝た夜を
思い出しておりやす」

生まれ故郷の 浅間をしのび
唄う追分 子守唄
笠と合羽を 投げ捨てて
堅気姿で 戻りたい
男 沓掛 男 沓掛 時次郎


6.森の石松

作詞:宮沢守夫
作曲:村沢良介

山が富士なら 男は次郎長
あまた子分の いる中で
人のいいのが 取り柄だが
喧嘩早いが 玉に疵(きず)
森の…森の石松 いい男

「そこの若えの
海道一の親分は清水の次郎長だってねぇ
いい子分が居るって言うのかい
そうよ…一に大政 二に小政
三に大瀬の半五郎
四番増川の仙右衛門 五番法印大五郎
中でも一番強えのが
遠州森の石松だい…
うれしいねぇ…呑みねぇ 呑みねぇ
寿司喰いねぇ
江戸ッ子だってねぇ…」

やっと出ました 俺らの名前
清水一家の 暴れん坊
情がからめば ついほろり
うれし涙が こぼれます
男…男石松 泣き笑い

「酒を呑んだら虎になり
暴れ出したら止まらない
あゝ…馬鹿は死ななきゃ癒らねえ…」

腕は強いが おっちょこちょいで
酒と女と 喧嘩好き
讃岐金刀比羅 代参で
死出の旅とも 知らないで
森の森の石松 ひとり旅


7.おりょう

作詞:星野哲郎
作曲:村沢良介

燃えて火を吐く 男の夢に
惚れる女も 命がけ
華の友禅 桔梗の帯に
好きな 好きな龍の字
一文字入れて
影を支える…京おんな

「男まさりのおりょうが
初めておんなに生まれたしあわせを感じさせて貰いました
龍馬さま…あなたを好きになる女はみーんな私の仇です
誰も好きにならないで…
おりょうは あなたの血のひと滴となって…散りたいのです…」

加茂の川原を 流れる水は
人のさだめに 似て哀し
たとえ短い 月日であろと
好きな 好きなあなたと
結んだ契り
生きて甲斐ある…おんな町

「国が生まれ変わる為には
誰かが死ななくてはならないのですか…
春の嵐に散り急ぐ花の様に
命を惜しまずあなたも散ってゆくのですか…
龍馬さま…龍馬さま…」

龍馬いのちの 維新のおんな
散るを 散るを惜しまぬ
おりょうの心
月もご存じ…嵐山


8.梅川


9.一本刀土俵入り

作詞:高月ことば
作曲:村沢良介

男度胸の 人生を
土俵ひとすじ 生きてゆく
おれは角力の 鬼になる
想い出すまい 故郷のことは
晴れて錦を 飾るまで

「姐さん…わしはあんたのような親切な人に出逢った
のは生まれて初めてだ 姐さんのご恩を忘れぬため
に わしが出世して幕内に入ろうが三役になろうが
横綱を張るまでは どんな事があっても
駒形茂兵エで押し通します」

利根の川風 身に沁みて
つくり笑いの 日を送る
繻子のだるまは 七転び
八起き浮世も 捨てばちなれど
花の情けは まだ枯れぬ

「お鳶さん…達者で何よりでござんした
十年前は一方ならねえ お世話になって… あの時
約束したように大手を振って姐さんの前に出られた
義理じゃござんせんが一目だけでも 無事な姿を見た
上で お礼の言葉を云いてえと恥をしのんで尋ねて
まいりやした… 姐さん…想い出しておくんなすっ
たか十年前の取手の宿のあびこやで くし かんざ
しに きんちゃくぐるみ恵んで貰った姐さんに
見ていただく これが駒形茂兵エの しがねえ姿の
しがねえ姿の…土俵入りでござんす」

化粧まわしは 夢の夢
今は素袷 三度笠
西に東に 渡り鳥
誰に見せよか 駒形茂兵エ
一本刀の 土俵入り


10.花の幡隨院

作詞:渋谷郁男
作曲:村沢良介

花のお江戸は 幡隨院の
侠客長兵衛が 引き受けた
一人乗り込む 旗本屋敷
命 命捨て身の
アンア アアアア アンアアー 町奴

男伊達なら あの長兵衛と…

人に云われたこの俺が
片手を上げりゃ千、二千
子分身内は集まるけれど
ぐっとこらえて来た俺だ
罪なき江戸の町人衆に
俺ゃ喜んで死んで行くと
にっこり笑って息絶える
東男のアンアンアン
アアンアアン アーアーアン
アーアーアー 晴れ姿

「さすがは長兵衛…
あっぱれな最後…
武士の遺恨と意地とは云え
惜しい男を亡くしてしまった…
許せ長兵衛
そちは日本一の…男であった」

度胸千両で 今売り出しの
侠客長兵衛は 江戸育ち
死出の旅路の 桜の花を
散らす 散らす無情の
アンア アアアア
アンアアー なみだ雨


11.お初


12.瞼の母

作詞:坂口ふみ緒
作曲:沢しげと

軒下三寸 借りうけまして
申しあげます おっ母さん
たった一言 忠太郎と
呼んでくだせぇ
呼んでくだせぇ たのみやす

「おかみさん 今何とか言いなすったね
親子の名のりがしたかったら
堅気の姿で尋ねて来いと言いなすったが
笑わしちゃいけねぇぜ
親にはぐれた子雀が
ぐれたを叱るは無理な話よ
愚痴じゃねぇ 未練じゃねぇ
おかみさん 俺の言うことを
よく聞きなせぇ
尋ね 尋ねた母親に
倅と呼んでもらえぬような
こんなやくざに 誰がしたんでぇ」

世間の噂が 気になるならば
こんなやくざを なぜ生んだ
つれのうござんす おっ母さん
月も雲間で
月も雲間で もらい泣き

「何を言ってやんでぇ
何が今更、 忠太郎だ 何が倅でぇ
俺らにゃおっ母はいねぇんでぇ
おっ母さんは 俺の心の底に居るんだ
上と下との瞼を合わせりゃ
逢わねぇ昔の
やさしいおっ母の面影が浮かんでくらぁ
逢いたくなったら
逢いたくなったら 俺ァ瞼をつむるんだ」

逢わなきゃよかった 泣かずにすんだ
これが浮世と いうものか
水熊横丁は 遠灯り
縞の合羽に
縞の合羽に 雪が散る

おっ母さん


13.男…新門辰五郎

作詞:宮沢守夫
作曲:村沢良介

男いのちを 纏に賭ける
火消し稼業の 勇み肌
江戸は「を」組の 元締めで
気っ風の良さで 名を挙げる
「男の中の…男でござる」
その名は…新門辰五郎

サーエー
格子造りに御神燈下げて
兄貴ァ家かと姐御に問えば
兄貴ァ二階で木遣りの稽古
音頭とるのはアリャうちの人
エンヤーラエンヤラヤ
サノヨーイサエンヤラヤ
エンヤラヤレコノセー サノセー
アレワサエーンヤーラヤー

惚れたおせきと 観音さまに
愛を誓えば 鳩が舞う
消すがさだめの 火消しでも
恋の火だけは 消されない
「男の中の…男でござる」
その名は…新門辰五郎

江戸の華なら 数々あるが
火事と喧嘩と 纏持ち
見ろよ見てくれ 晴れ姿
「を」組いのちの この纏
「男の中の…男でござる」
その名は…新門辰五郎


14.お蔦

作詞:松井由利夫
作曲:村沢良介

涙残して 別れるよりも
いっそ絶ちたい この命
湯島白梅 お蔦のこころ
知るや知らずや なぜ散りいそぐ
春は名のみの 切り通し

(セリフ)別れろ切れろは 芸者のときに云う言葉
別れろと云うその口で
なぜ… 死ねとは云って下さらないの
あなたはお蔦の命の支え
あなたが居ればこそ夢も見ました
心の花を咲かせることも出来ました
それなのに…ひどい…
ひどすぎますその言葉…

義理という字の 重さに負けて
袂ふり切る 真砂町
青い瓦斯燈 よろける影に
つもる未練は くちびる噛んで
意地の堅縞 江戸育ち

(セリフ)梅の花びらが 雪のように散ってゆくわ
蒼い月の光が
今夜はまるで氷の刃のようね
わかりました もう泣きません
もうなにも云いません
真砂町の先生に
お蔦は笑って別れたと伝えて下さいね
未練だけれどもう一度だけ
お蔦のこの肩を この心を…
力いっぱい抱いて…
抱いて下さい 昔のように…

連れにはぐれた 白鷺一羽
月の不忍 水鏡
髪のほつれを つくろいながら
せめて一刻 名残りを惜しむ
遠く上野の 鐘の声